口だけだから心配ない…は誤解 咽頭は淋菌にとってすみやすい場所

日刊ゲンダイDIGITAL(2/21(木) 9:26配信)

【性感染症最前線】咽頭感染

新宿・歌舞伎町近くにある性感染症専門施設「プライベートケアクリニック東京」に、20代半ばのサラリーマンがやってきた。朝起きたらペニスの先から黄色い膿が出てきて、オシッコのし始めがえらく痛いという。典型的な「淋菌性尿道炎(淋病)」の症状だ。

どこで何をしたか尋ねると、彼は自信たっぷりにこう答えたという。

「実は5日前にピンクサロンに行きました。でも、先生、セックスはしていませんよ。性病が怖いですからね。だから口だけにしておきました」

尾上泰彦院長は「このようなケースが実に多い」と言う。

「『口だけなら安全……』なんて、とんでもない誤解です。男性の性感染症で最も多いのはクラミジア性尿道炎、次いで淋菌性尿道炎です。その最大の感染源は、ピンクサロンやファッションヘルスなど性風俗店でのオーラルサービスなのです」

つまり、性風俗従事者(女性)の咽頭にクラミジアや淋菌が感染していて、フェラチオによって男性器に感染するパターン。咽頭感染は、のどの発赤や腫れなどの見た目や自覚できる症状がほとんどない。綿棒やうがい液を使って検査しないと感染は分からないので、気づかず他人にうつしてしまうのだ。

特にオーラルサービス専門店では、クラミジアよりも淋病の方がうつされやすい傾向があるという。なぜか。

「咽頭は、淋菌にとってすみやすい環境だからです。口の中は常在菌が無数にいますが、その中にナイセリア属の細菌が何種類もいます。淋菌はナイセリア属なので、性器だけでなく咽頭も感染しやすいのです。しかし、クラミジアの咽頭感染も決して少なくないので、油断は禁物です」

同院では、男女問わず性器淋菌感染者の約30%に、咽頭からも淋菌の検出が見られる。また、男性では性器の淋菌陽性率が咽頭よりも高いのに対して、女性では咽頭の淋菌陽性率が性器より高いという。

その理由は判然としないが、クンニリングスよりもフェラチオの方が、男性器の形の特徴から尿道分泌物が女性の咽頭に直接到達しやすいからだと考えられている。

性器と咽頭の同時感染では、治療で性器の淋菌が消失しても、咽頭淋菌が残存する場合もある。

「咽頭淋菌の治癒率が低いのは、淋菌が咽頭の上皮組織ではなく、粘膜層に存在するからです。投与された薬剤濃度の上昇が少なく、抗菌効果が得られないためと思われます。感染機会がなく再発した場合は、咽頭感染も疑う必要があります」

淋菌、恐るべし。

日刊ゲンダイDIGITAL(2/21(木) 9:26配信)

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